ふく動物病院

診療科目

健康管理のポイント

ハムスターの健康管理の一番のポイントは、あまり長時間接触しすぎないことです。接触すれば喜んで遊びますし、毎日欠かさず様子をチェックすることは大切なことです。しかし、ハムスターの体力を超えた接触はストレスとなります。長時間の接触は気を付けましょう。


「消化器疾患の予防」
食事内容を急に変えたり、青菜を過食すると、下痢を起こすことがあります。また、腐敗したものを食べてしまったり、給水器の中に微生物が繁殖してしまったときにも下痢が起こります。
俗にウェットテイルとよばれる下痢症は、3−6週齢の離乳直後の幼いハムスターがかかると、死亡率が著しく高い病気です。幼いハムスターに下痢が見られたら、糞便を持参して早期に治療をうけましょう。
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<ハムスターの正常便>この位コロコロでなければ異常と考えられます。

「眼科疾患」
ハムスターも白内障になります。また体調の変化は目ヤニなどの症状として出る事が多いです。
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<ジャンガリアンハムスターの白内障>
口腔疾患の予防
「切歯」
切歯の前面が黄色であること、上の歯よりも下の歯が3倍ほど長いこと、切歯の先端が鋭利であることは、ハムスターでは正常です。
ケージの網をかじることで、不正咬合になることがあります。プラスチック製のケージを使ったり、板を挟むなどして、未然に防ぎましょう。
「頬袋」
食物や、巣材、時には小さい子を運ぶのに使います。めくれて口の外に出てしまう事もあります。また、大きめのナッツなどを与えると、詰まって出なくなてしまう事もあるので、注意が必要です。ゴールデンは、ジャンガリアンやロボロフスキーに比べ、頬袋に貯蔵する時間が短く、頻繁に出し入れする特徴があります。
「臭腺と臭嚢」
ゴールデンハムスターの背中には臭腺があります。この器官は毛に覆われており、普段は見ることができませんが、脱毛や分泌物によって、黒く丸い隆起として見られることがあります。
ロボロフスキーのお腹には、皮脂腺があります。この器官はクリーム状、キャラメル状の分泌物を含んでいるため、膿や糞便などと見間違えることがあります。
ジャンガリアン、キャンベルハムスターには、口の中、頬袋の付近に臭嚢があります。これは、直径3mm程度の白い円形の陥没として見られます。この部分に細菌感染が起こり、腫れあがってしまうことがあります。
「陰嚢」
精巣は体に対してとても大きく、睡眠時には陰嚢が弛緩して、さらに大きさが目立ちます。また、陰嚢の先端には隆起がみられます。これは、精巣上体という部位のふくらみであり、正常なものです。しかし、この部分は膿瘍が発生することが多いので、異常な腫れがあった場合には注意が必要です。
「食糞」
ウサギやハムスターでは、糞便を食べる行動がみられます。これは、セルロースの再消化、ビタミン、腸内善玉菌の補給、幼獣の離乳食としての役割があるといわれています。
「睡眠姿勢」
横向きに丸まる、仰向けで寝ることが多く、これは正常な姿勢です。巣や何らかの隠れ場所があると、安心してこのような姿勢で寝ます。しかし、隠れ場所を除去してしまうと、うずくまりの姿勢で寝るようになります。これは、眠りの浅い警戒の姿勢であり、体調が悪い時にも見られます。隠れ場所の中で、普段と違い、うずくまることが多い場合は、注意が必要です。
「冬眠」
低温環境になると、食物を集めるようになります。気温が10℃を下回ると、ハムスターは丸まって深い眠りに入ります。死に至る場合もあるので注意が必要です。
動かなくなってしまったときは、環境の温度を確認してみましょう。
「脱毛」
毛包虫症(寄生虫)や、甲状腺ホルモンの異常(ホルモン疾患)が考えられます。

ハムスターのニキビダニの臨床症状・顕微鏡画像

「泌尿器、生殖器疾患」
メスの場合は子宮蓄膿症が多く、膀胱炎、膀胱結石などもしばしばみられます。
雌雄で飼育すると交配、妊娠、出産する場合があります。
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「生後1日目のゴールデンハムスター」

ハムスター担当獣医師
院長 出浦知也
副院長 清田大介
副院長 島村剛史

2021/08/15