ふく動物病院

診療科目

腫瘍に対する治療ポリシー

飼い主様の動物に対する愛情は深く獣医療に対する期待も強く感じております。
しかし、現在の獣医療で解明されていない病気や大きな手術をしても余命がいくばくかの症例も多々存在する事実があります。
そんな中で飼い主様が知りたい情報として
「病名が何なのか」
「どのような治療があるのか」
「費用はどの位かかるのか」
「どのような経過を経るのか」
「治る病気なのか」
などが挙げられます。ふく動物病院では飼い主様と協力して治療を行えるように、外科治療、内科治療、大学病院の情報を提示し、治療計画を組み立てていきます。



<腫瘍診療手順>
腫瘍診断、治療方針の決定は
①原発病巣
②リンパ節の状態
③遠隔転移
④全身状態
を評価し、その後相談の上、治療計画を作成します。

① 原発病巣
腫瘍(しこり)は良性腫瘍、悪性腫瘍、非腫瘍があります。
一般の飼い主様は腫瘍と聞くとすべて「がん」を想像するかもしれませんが、実際には挙動のよい良性腫瘍や、非腫瘍性疾患も存在しますし、逆に非常に悪性度の高い腫瘍も存在します。ふく動物病院では年齢、犬種、性別、発生部位を考慮した上で検査、治療方針を決定します。
31.JPG
犬の下顎口腔腫瘍
1 (6).JPG
肥満細胞腫(Mast cell tumor) 細胞診所見
メイ.JPG
肥満細胞腫(Mast cell tumor) 細胞診所見
② リンパ節の状態
リンパ節は関所
リンパが腫れる病気は多数ありますが、その代表的なものは「がん」かもしれません。
原発病巣の所属リンパ節の状態を確認する事で腫瘍が全身へ転移するものか検討します。リンパ腫などの腫瘍ではまず細胞診にて診断し、必要な追加検査を行います。
DSC00245.JPG
犬のリンパ腫の浅頚リンパ節腫大

③ 遠隔転移
遠隔転移とは、原発病巣に存在する腫瘍細胞が原発病巣から遠く離れた臓器やリンパ節に転移する事をいいます。
遠隔転移が認められた症例の多くは予後が悪い事が考えられ、どこまで治療するのが症例にとっての幸せか、飼い主様の幸せかを相談し治療方針を検討します。
p (14).jpg
犬の唾液腺癌の遠隔転移のX線所見
 
    

④ 全身状態
治療を行うにあたって最も大事なことかもしれません。
症例の年齢、基礎疾患により、治療プランは様々です

そして治療計画の決定
腫瘍の種類、基礎疾患、年齢、予算、治療リスクにより飼い主様の死生観も変化するでしょう、「私の犬や猫ならこう治療するかな?」「自分が犬だったら、猫だったらこの治療は選択しないかな?」「エビデンス(学術的データ)も大事だけど実際はこんな経過になる事が予想できます」など押しつけでなく、今まで私が経験して来た腫瘍診療経験に基づいて治療計画を作成したいと思います。