ふく動物病院

診療科目

避妊手術(ウサギ)

ふく動物病院ではウサギの避妊手術(子宮卵巣摘出術)を実施しております。


<避妊手術>
子宮と卵巣を同時に摘出する手術です。
犬猫の子宮、卵巣摘出術は一般的な動物病院では広く実施されております。
しかしウサギの子宮・卵巣摘出術は麻酔管理や手術手技、経験の有無の観点から犬猫の手術よりも注意が必要と考えられております。
2歳齢以上の雌のウサギに血尿が認められた場合、90%程の確率で子宮出血であると考えられる為、出産の予定がないウサギには1歳までの避妊手術をお勧めしております。
比較的若齢のウサギの子宮.JPG
「6ヶ月齢のウサギの子宮」
※一部画像を加工しております
比較的若齢で出産歴のないウサギの子宮は細く、出血も少ないため、より短時間に安全に手術を実施することができます。

基礎疾患のない比較的若いウサギでは日帰り手術が可能です。
術後は約1週間で抜糸が可能となります。

<手術統計>
ふく動物病院 ウサギ避妊手術実績.png
「ふく動物病院で行われたウサギの避妊手術(子宮卵巣摘出術)の実施年齢の統計2005-2019」

約30例の手術が実施されており、平均手術月例は28ヶ月(2歳半)でした。(5ヶ月-5歳1ヶ月)
3症例に子宮腺癌が認められました。子宮腺癌の症例の内、2例は50ヶ月以上(4歳以上)でした。(1例は年齢不詳の途中飼育でした)

<結論・結語>
2歳以上のメスのウサギの血尿症例は90%が子宮疾患という報告もありますが、当院の統計上では50ヶ月以上(4歳以上)という結果となりました。今回の統計では臨床症状のないウサギの子宮に関しては、病理組織検査を実施しておりませんが、潜在的には犬、猫よりも早期に子宮疾患に罹患する可能性高いと考えられます。

「既存の報告では2歳以上の血尿の90%が子宮疾患、当院の統計では4歳以上はハイリスク」という結論かと思います。

「追加情報」
Assessment of reported uterine lesions diagnosed histologically after ovariohysterectomy in 1,928 pet rabbits

Journal of the American Veterinary Medical Association
November 15, 2020 (Vol 257; No. 10: )によると

1928羽のペットのウサギについての比較的新しい報告です。

最も一般的に報告された腫瘍性および非腫瘍性病変は、
子宮内膜腺癌(1,035 / 1,928 [53.7%])
子宮内膜増殖症(842/1928 [43.7%])
最も一般的に報告された臨床徴候は血尿または漿液性膣分泌物(1,020 / 1,928)でした。 [52.9%])

卵巣子宮摘出術の年齢が上がるにつれて、子宮腺癌のオッズ(OR、1.826; 95%CI、1.640〜2.033)も上昇したと報告されております。

子宮疾患、特に子宮内膜腺癌を軽減するための重要な予防策として、2歳未満のウサギにおける卵巣子宮摘出術を支持すると報告されておりました。

2020/11/27