ふく動物病院

診療科目

副腎皮質腺癌

(症例1)フェレット 去勢雄 5歳 副腎皮質腺癌
背部の脱毛と排尿時の力みを主訴に来院されました。
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年齢が5歳とやや高齢でしたが、術前の検査、全身状態が非常に良かった為、外科、内科治療を併用して治療を行いました。

術後約1ヶ月 排尿困難がなくなり、発毛し始めた。
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術後1ヶ月半 脱毛部分から明らかな発毛が認められた。
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今回の症例は術後もリュープリンの3週間おきの投与行っています。
全身状態も安定し排尿も順調です。
フェレットの排尿困難は雄に多く、その原因として、尿石症や前立腺の問題など多岐にわたりますが、今回のように副腎の腫瘍を摘出することで、排尿がうまくコントロールできる症例も多数認められています。本症例は手術後13ヶ月の追跡調査にて全身状態良好でした。

(症例2)
他施設にて尿石症の治療のみを行いうまくコントロールできずに再度排尿困難を示した、2歳の去勢雄のフェレット

「全身状態」
明らかな皮膚の脱毛は認められなかった。
しかし排尿時困難は院内でも認められた。

「画像診断」
X線検査にて左副腎の拡大を認め、超音波検査で前立腺の拡大も認められた。

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「術中所見:腫大した左副腎です」

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「術中所見:副腎切除後」
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「癌化した副腎(病理組織学検査にて副腎腺癌と診断)」

フェレットにおける副腎疾患は非常に多く、副腎の過形成、腺腫や腺癌あるいは出血などが認められます。その発生は1~7歳とあらゆる年齢時に発生します。
特に悪性腫瘍である副腎皮質腺癌は中~高齢のフェレットに多く認められ、臨床的に脱毛ばどの症状を認める症例ではその約98%は副腎の過形成、腺腫あるいは腺癌が認められたとの報告があります。

今回の症例も例外ではなく、2歳という年齢にもかかわらず、直径3cm程の拡大した副腎が癌化していました。
術後には排尿も良好で術後の経過は良好です。
しかし、副腎腺癌の経過には今後も注意が必要です。

2020/01/01