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インスリノーマ

  • インスリノーマ

    ●インスリノーマとはどんな病気なの?治るの?


    インスリンという血糖値を下げるためのホルモンが体内で過剰に産生されて低血糖となり、その結果様々な症状を示す病気です。
    原因は膵臓のβ細胞の過形成や腫瘍化とされ、増殖した細胞からインスリンが過剰産生されます。
    人ではインスリノーマはほとんどが良性の腫瘍ですが、犬やフェレットではほとんどが悪性の腫瘍とされます。
    4才くらいからの発症が多く、2才程の若齢での発生の報告もあります。
    進行性の病気で、生涯にわたり投薬が必要で徐々にコントロールも難しくなる病気です。


    ●インスリノーマはどんな症状の時に疑うの?


    多いのは元気や食欲がなくなる、ぼんやりとしている、寝ていることが多い、ふらつく、震える、ヨダレを垂らす、口をひっかくなどがあります。
    低血糖に起因する脳障害として痙攣、昏睡、不全麻痺、失明もみられます。
    症状が持続的に起こる場合と、食間や運動時や興奮時に引き起こされる場合とがあります。
    それに対して、慢性経過のフェレットでは低血糖状態に対して耐性があり、長時間の低血糖でも症状が現れないこともあります。


    ●インスリノーマはどんな検査をすれば分かるの?似たような症状の他の病気はないの?


    臨床症状と、4~6時間絶食後の血糖値が60を下回ればほぼインスリノーマと診断されます。
    より詳しく判定するには血糖値が60以下の時のインスリンの濃度が正常値以上であれば確定診断となります。
    インスリノーマ以外にも血糖値が低くなる病気があり、除外診断が必要となります。


    ●インスリノーマはどんな治療をするの?


    内科治療と外科治療があります。
    外科手術
    手術の目的は確認できる腫瘍を摘出してインスリンの量を減らし、インスリノーマの症状を軽減する事です。
    フェレットでは単独で大きく腫瘍化している例は少なく、びまん性にまき散らしたように浸潤していることが多いとされます。
    単独の腫瘤だった場合は膵結節切除術を行い、数箇所の腫瘤がある場合やびまん性のものは膵部分切除術を行ないます。
    手術の注意点
    インスリノーマは進行性の病気である為、外科手術が根治治療では無い点、術後の合併症として高血糖や糖尿病(通常は一時的で2~3週間以内に正常値に戻る。)の発症が挙げられます。
    膵臓の結節を外科的切除したフェレットの平均生存期間は462日(最短14~最長1207日)と報告されています。


    DSC06616.JPGのサムネール画像

    インスリノーマ結節


    内科治療


    内科治療の目標は低血糖から起こる症状を緩和することであり、血糖値を常に正常にすることではありません。
    いきなりどの症例でも薬を使用するわけではなく、まずは生活の見直しを行います。
    高タンパク、低炭水化物のものをなるべく頻回に与え、状態によっては注射器などを用いて強制的に給餌を行います。
    強制給餌用としてはa/dなどをよく用います。特に運動後や睡眠からの覚醒後にはなるべく給餌する。
    血中の糖をなるべく使用させないために、温度の管理(特に冬に寒くないように)、興奮させない、あまり活発に遊ばせない、などを行います。
    糖類を多量に与えると急激な血糖値の上昇を起こしてかえってインスリン分泌を促すため日常での投与は避けます。
    生活習慣の改善で低血糖症状をコントロールできない場合は投薬を行ないます。


    第1選択薬


    ★プレドニゾロン(0.5~2mg/kg 1日2回)


    肝臓での糖新生を増加させることと、末梢組織によるブドウ糖の取り込みを阻害することによる作用を期待します。
    副作用は脱毛、腹囲膨満、肝酵素値の上昇、などが主なものです。
    ステロイドの副作用が問題になってきたときは以下の薬も併用します。


    第2選択薬


    ★ジアゾキシド(5~30mg/kg 1日2回)


    海外から輸入または国内で試薬として入手します。副作用は肝障害、骨髄抑制、下痢、嘔吐、食欲不振などです。
    膵臓のβ細胞からのインスリン放出を阻害、肝臓でのグリコーゲン分解と糖新生を促進、細胞のブドウ糖の取り込みを減少させます。


    ★ストレプトゾシン


    膵ランゲルハンス島を選択的に破壊してインスリン産生量を減少させます。
    副作用として糖尿病、腎不全、骨髄抑制、肝毒性などが起こることがあります。


    ★オクトレオチド(サンドスタチン)


    持続型のソマトスタチン誘導体でインスリンの合成・分泌を阻害する。長期投与で反応しなくなります。


    副院長 清田大介

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