診療科目

内視鏡

  • 猫のリンパ球形質細胞胃腸炎

    消化管で観察されるリンパ球形質細胞浸潤は、慢性的な粘膜に対する刺激に付随して起こる非得意的な病変です。感染症、異物、食物アレルギーなどあらゆる原因が除外されても原因が特定できない場合には、いわゆる炎症性腸疾患(IBD)を考慮する必要があります。

    リンパ形質細胞性腸炎の超音波画像1.jpg
    「リンパ形質細胞性腸炎と診断された猫の消化管画像」
    (後に内視鏡生検で確定診断された症例の画像)
    リンパ形質細胞性腸炎の超音波画像2.jpg
    「リンパ形質細胞性腸炎と診断された猫の消化管画像」
    (後に内視鏡生検で確定診断された症例の画像)


    慢性的な下痢や嘔吐、体重減少などの臨床症状が1ヶ月異常続く症例は腹部超音波検査を行います。
    腹部超音波検査で消化管の腫れや、腹腔内リンパ節の腫大を認めた場合には内視鏡検査などの、より詳しい検査を行います


    「他施設で慢性腎不全診断後に当院でリンパ球形質細胞胃腸炎と診断された症例」
    食欲不振と慢性的な嘔吐を主訴に当院を受診。
    腹部超音波検査にて胃壁(幽門部)の肥厚が認められた。
    他に血液生化学検査で慢性腎不全が認められた(BUN:56.9 CRE:2.7)

    本症例は当院にて内視鏡下の組織生検を実施致しました。
    病理組織診断では胃や小腸組織において、「リンパ球形質細胞浸潤」が観察され「リンパ形質細胞性胃腸炎」と診断に至りました。
    リンパ形質細胞性胃腸炎1.png
    「内視鏡 胃内所見リンパ形質細胞性胃腸炎2.png
    リンパ形質細胞性胃腸炎3.png
    「内視鏡 十二指腸より組織生検」(内視鏡生検鉗子により組織採材)


    IBDは小腸または大腸の粘膜固有層における炎症細胞浸潤を特徴とする原因不明の慢性胃腸障害を起こす症候群です。病態は不明な点が多いものですが、遺伝的素因、腸菅粘膜機構の異常、腸菅粘膜バリア機能の破綻、特異的な腸内細菌や食物抗原への曝露など、多因子が関与しえいると考えられます。なお、IBDは、考えられる腸炎の原因を臨床的に除外した上で、臨床的に最終判断されるべき腸管の慢性炎症です。


    また近年の報告ではIBDからリンパ腫に移行(悪化)する症例、IBDの内科管理が困難になった症例の中にリンパ腫が認められる症例の報告も多数報告されており、下痢や嘔吐などの慢性消化器疾患の症例に対して内視鏡による組織生検は非常に重要と考えられます。


    2018/12/26

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